中村勝樹●ピアノ

 

モーツァルト室内管弦楽団のファンのみなさまこんにちは。次回、12月の定期演奏会でモーツァルトのピアノ協奏曲第19番へ長調 K 459で協演させていただく、中村です。

この楽曲は、よく演奏される20番以降の協奏曲に比べ、とりあげられる頻度も馴染みもぐんと少なくなりますが、それらに優るとも劣らない規模と魅力を備えた曲だと思います。行進曲風でありながらなんとも典雅な空気漂う第一楽章、歌に溢れた第二楽章、華やかかつすこぶる堅牢という不思議な魅力の第三楽章……。今回のお話をいただいたとき、真っ先に思い浮かべたこの曲を弾く幸せをかみ締めています。

演奏会当日は、この曲を軽さとともに、歌にもタッチにもレガートを忘れないように演奏したいですね。

モーツァルト室内管弦楽団とご一緒させていただくのは前回のプーランクに続き二度目ですが、素晴らしいオーケストラに寄り添って演奏できれば幸せです。

いずみホールで皆さまとお会いできることを楽しみにしています。

 

<略歴>

和歌山市在住。武蔵野音楽大学卒業後、ポーランドクラクフ音楽アカデミー研究科、ドイツワイマール国立「フランツリスト」音楽大学大学院修了。飯塚新人音楽コンクール入賞。上野智美、藤井和子、遠藤一枝、遠藤秀一郎、川崎隆、J.ウコヴィッチ、H.チェルニー=ステファンスカ、G.ケーラー=シャルラッハ各氏に師事。在独中のワイマールでのリサイタルを皮切りに、ドイツ国内やスイス等で演奏活動を行う。帰国後はソロやデュオでのリサイタルを中心に活躍し、NHK名曲リサイタル、木曜リサイタルシリーズ、サマーミュージックフェスティバル大阪等にも出演する。近年は教育面にも注力しており、ピティナ、ショパン国際コンクールin ASIA、日本クラシック音楽協会から指導者賞を授与される。大阪芸術大学客員准教授、大阪音楽大学非常勤講師。

 

https://piano-wakayama.jimdo.com/

大槻知世 Otsuki Chiyo ●ピアノ

 

みなさんこんにちは。来る9月22日の定期演奏会でショパンのピアノ協奏曲第二番ヘ短調を協演させていただく大槻です。

私がこのピアノ協奏曲を初めて聞いた時に感じたのは、なんとショパンらしく、ショパンの魅力が存分に詰まった曲なのだろうということでした。19歳のショパンがピアニストとしての名をさらに挙げるために作曲し、自身の演奏で初演したという作品ですから、魅力的なのは当たり前なのかもしれません。

特に、自分自身を理解して欲しい、魅力に気付いて欲しいと訴えかけてくるかのようなストレートなショパンの若々しいアピールを感じられる曲だと思います。

これを作曲した時、ショパンはすでにワルシャワやウィーンで成功を収めていました。そんな彼がさらに成功を収めるために協奏曲の作曲を決意し、改めてピアノという楽器に向き合い創作したのではないかと思います。

そのように紡ぎ出されたピアノの楽器としての魅力が、少しでも観客の皆様に伝わればと願い演奏させていただきたいと思います。

モーツァルト室内管弦楽団の皆様と初めてご一緒させていただきます。とくに、今回はオーケストラではなく弦楽五重奏との演奏会という事で、弦楽器の皆様の息遣いを身近に感じながら演奏出来るのではないかと思います。

ピアノも、弦楽五重奏も、双方が呼応し合いながら互いの魅力を引き出すようなこの楽曲を演奏できることがとても楽しみです。皆さまと西宮芸術文化ホールでお会いできることを楽しみにしています。

 

<略歴>

大槻 知世(オオツキ チヨ)

神戸女学院大学音楽学部卒業、同大学大学院音楽研究科修了。第14回堺ピアノコンクール一般の部金賞受賞。第27回来音会ピアノコンクールにて銅賞。第10回日本演奏家コンクール一般の部2位受賞。エウフォニカ管弦楽団、西日本フィルハーモニー管弦楽団と共演。神戸女学院大学新人演奏会、第19回クライスコスモスジョイントリサイタル、大阪府立弥生文化博物館、守口市生涯学習情報センターでのソロリサイタルなど多数の演奏会に出演。金子園、セルゲイ・ミルシュタイン、山上明美の各氏に師事。現在、宝塚演奏家連盟演奏会員。アンサンブルrisoメンバー。園田学園女子大学、及び大阪総合保育大学、各非常勤講師。神戸女学院大学新人演奏会、神戸女学院大学主催「音の響宴」、第19回クライスコスモスジョイントリサイタル、伴奏での大阪クラシックなど多数の演奏会に出演。金子 園、セルゲイ・ミルシュタイン、山上明美の各氏に師事。現在、園田学園女子大学非常勤講師。新世音楽協会会員。

 

湊谷亜由美 Minatoya Ayumi●ピアノ

 

モーツァルト室内管弦楽団のファンのみなさんこんにちは。9月29日の演奏会でショパンのピアノ協奏曲第一番を弾かせていただく湊谷です。

ショパンはこの曲を二十歳の時に作曲しています。この協奏曲にはウィーン、パリへと打って出る時の意気揚々とした若さ溢れるキラ星のような印象を強く受けます。

今回の演奏会では、ピアノ6重奏版での演奏ですが、ワルシャワを去る時まで家族と住んでいたクラシンスキ宮殿の一室でこの協奏曲の作曲、室内楽版で試演をし、パリのプレイエルホールでデビューした時もこの協奏曲をピアノ6重奏でおそらく演奏したと言われています。

現在ではオーケストラと協演することが一般的ですが、ピアノ6重奏版はもしかしたらショパンが思い描いていたイメージに一番近いサウンドなのかもしれません。

しかし、本来オーケストラや弦楽器以外の楽器が奏でるであろう効果音的なフレーズもピアノが請け負うことになるので、難曲中の難曲。ピアニストにとっては「過密スケジュール」(!?)の演奏です。

今回の演奏会では、「ショパンの歌を歌いきること」をポイントに置いています。そのあたりをぜひご鑑賞ください。モーツアルト管弦楽団との協演は初めてですので、ワクワクドキドキです。メンバーの方々とのメロディーの対話を十分に発揮できるように頑張りたいです。兵庫県立芸術文化センターでお会いできることを楽しみにしています。

 

<略歴>神戸女学院大学音楽学部ピアノ科卒業。カトヴィツェ音楽院ピアノ科研究科に3年間在籍し修了。2年間ポーランド政府奨学金を得て、グダンスク音楽院ピアノ科研究科を修了。シマノフスキ国際コンクールにてディプロマ賞受賞。リサイタル、講演会等でポーランドの作曲家による作品の紹介に力を注ぐ。武庫川女子大学教育学科講師。